電子顕微鏡技術研究所

卓上電子顕微鏡(日立ミニスコープ)のページ

コロナ禍やウクライナ戦争を「乗り越えて」、わが家に電子顕微鏡がやってきました。 50年以上にわたって電子顕微鏡の仕事を続けてきました。走査電子顕微鏡については、以前から「卓上化」されることを提案したり、これまでにも開発されたいくつかの装置を職場で購入したりしてきました。さらに「小型化」しないと、一人で運搬できないのですが、性能的にはかなりのレベルまで達しています。自分の余命も考え、思い切って自宅への設置を決めました。地域の子どもたちのための科学教育や、さらなる機能の改善、応用分野の拡大にご協力させていただきたいと考えております。ご利用になりたい方は、いつでもお声がけください。電子顕微鏡に関するご相談にも応じさせていただきます。

【 高校生は、簡単な説明で、使えそうです。】

年ぶりに帰省した孫。夏休みの「自由研究」に使えるかな…..? ペットの毛、ケガをした部分の「皮膚」などを観察中。痛そう…..。

【 最も簡単な試料の準備方法 】

「とにかく、まず何かを観察してみよう。」という場合の、最も基本的な試料の準備方法を見て下さい。昆虫は外骨格といって体の周りに骨のようなものがあり、電子顕微鏡の中でも安定していますので、試料台にそのまま載せるだけで、体の表面の構造等を観察することができます。植物は、かなりの水分を含んでいますが、Miniscopeの「低真空モード」(L)ではかなり安定に観察できるようです。「低真空モード」を使用する場合は、真空を排気する前に、あらかじめ本体の設定を「低真空モード」にしておいてください。 【 一歩進んで 】 高分解能な装置を使って倍率の高い写真を撮影する場合などには、「両面テープ」は決して使いません。像ドリフトの原因になります。更に、観察時にテープから発生する「ガス」にも注意が必要です。Miniscopeを使って、「低真空モード」などで観察する場合は、試料が試料台にしっかりと固着してさえいれば、問題はありません。

【 久しぶりに「星の砂」を見てみました 】

20年以上前に、仕事で「石垣島」へ行った時に買ってきたお土産を探し出しました。現在も売っているのかな.....? 国内で「卓上SEM」の販売が始まった頃、そのSEMを使って電子顕微鏡写真を撮影したことを覚えています。それ以後、いくつかのメーカーが走査電子顕微鏡(SEM)のパンフレットなどに掲載するようになったようです。石垣島へは、会社勤めの頃に、系列会社の営業の方のサポートで同行したのですが、仕事は早く終わって、その方は、シュノーケリングが趣味で、近くの海岸でシュノーケリングをしてくるということで別れました。私はレンタカーを借りて、島を一周して「遊んで」きました。岐阜へ帰り、「子ども教室」などで、子どもたちに見せるたびに、「頂戴、ちょうだい.....」ということで、少しづつ数が減ってきましたが、まだ残っていました。 わが家の電子顕微鏡を使って、基礎的なデータを取っています。「星の砂」は比較的安定した試料として使えますね。「低真空モード」(通常の走査電子顕微鏡は、高い真空度が必要ですが、少しだけ真空度を低くして観察するモード)で観察すると、低倍率だと結構使えそうです。この「低真空モード」で2次電子観察が簡単にできるのはスゴ〜い。2次電子観察(SE)と反射電子観察(BSE)の違いについては、改めまして説明させていただきます。まずは、「星の砂」をご覧下さい。

【「星の砂」のSEM像】

観察条件を変えてSEM観察しました。加速電圧の違いによる像の見え方の違いを理解する参考にしてください。


星の砂は原生生物である有孔虫の殻である。生きている有孔虫の殻内は原形質で満たされているが、有孔虫が死ぬと有機質である原形質が分解され、丈夫な殻のみが残存して堆積する。殻の形態が星や太陽を思わせる幾何学的な形状であるため、生物学的な研究対象としてのみならず、鑑賞の対象としても広く愛好されている。 有孔虫は単細胞生物としては大型の部類に入り、星の砂以外にも絶滅種のフズリナや貨幣石に代表されるように、しばしば肉眼的な大きさとなる。今と同じような星の砂の構成種となる有孔虫は鮮新世(500〜160万年前)ごろから出現しており[1]、従って星の砂には現生の有孔虫の殻と共に、数万年前のもの(化石)が混入している場合もある(https://ja.wikipedia.org/wiki/星の砂)。

【電界放射型SEM用FEチップの観察】

 職場で使用済みの「電界放射型SEM用FEチップ」を観察しました。私の走査電子顕微鏡では、「タングステンフィラメント」と呼ばれる電子源(光学顕微鏡の光の代わりに電子顕微鏡で使用される電子を放出するところ)が使われていますが、高分解能観察のできる「電界放射型走査電子顕微鏡」と呼ばれる装置では、結晶タングステンを細く加工した「FEチップ」と呼ばれる電子源が用いいられます。電子の放出方法も異なります。先端の部分をよく見るとバクテリア(細菌)くらいのサイズの埃が付いていました。

【一般的な走査電子顕微鏡に使用されるタングステン・フィラメント】

それでは、一般的な走査電子顕微鏡(SEM)で使われている電子源を観察してみましょう。私が自宅で使用しているミニスコープで使われているタングステン製のフィラメントです。このループ状のタングステンの先端から電子が飛び出してきます。加熱によって発生しますので、「熱電子」と呼ばれています。この方式は、真空土もさほど高くなくても使用できますので、安価な装置で一般的に使用されます。ただし、観察される像の分解能が良くないことが欠点です。「FEチップ」の先端の形状と見比べるだけでも、解像度の違いがお分かりかと思います。

【フィラメントが切れました】

反射電子観察の条件設定を検討していたら、電子顕微鏡の光源となるタングステンフィラメントが「切れ」ました。交換と調整は30分ほどで終わりました。「どんなふうに切れているのか?」、切れたフィラメントの先端を観察してみました。若い頃、「フィラメントは、消耗して切れると先端部分が細くなって切れる。電子銃(フィラメントのある場所をこう呼びます。)の中で起こる放電などで切れた場合は、横で切れる。」という説明を受けたことがあります。今回は、横で切れていました。きれた部分が細くなっていますので、消耗したんだと思います。すでに納入から8ヶ月以上経過し、1,500枚以上の写真を撮っていますので、問題はないですね。

【 くっつき虫 】

「虫」といっても昆虫でもないのですが、犬の散歩をしていると、体毛にくっついてきて、帰宅後に取り除いてやるのに苦労します。いろんな種類があるんですが、これは「ヌスビトハギ」の仲間です。

【「くっつき虫」のSEM像①】

。いつか観察した「マジックファスナー」の引っ掛ける側にそっくりな突起が出ていますね。大小2種類で巧妙に引っ掛かるようです。(試料台に載せて、そのまま観察。)

【「くっつき虫」のSEM像②】

少し拡大を上げてみました。

【黄砂がやってきた。】

ミニスコープは二次電子像と反射電子像とを切り替えて観察することができます。通常の観察には二次電子像を使いますが、反射電子像も有用です。反射電子像は、「組成像」をも呼ばれ、観察対象となったものに含まれる元素の種類が得られる情報に反映されます。すなわち、「重い元素」が含まれている部分からは、反射電子がたくさん出てきますので、像が明るく見えます。黄砂には岩石の成分が含まれていると思われますので、光って観察されます。一方、花粉などの有機物質は軽い元素(C。H、Oなど)で構成されていますので、反射電子はすこししか出てこないので光ってはみえません。「花粉症」の方は、黄砂にもご注意ください....。」と言われます。花粉のまわりに細かな黄砂が付着しているのがわかりますが、複雑な複合汚染が人体に悪い影響を与えるのかもしれません

【カメムシの観察】

昆虫を絶命させてまでは観察したくないのですが、庭でひっくり返っているカメムシ(クサギカメムシ)を見つけましたので、観察してみました。一対の複眼と単眼、足の爪、触覚を少し拡大してみました。やはり、試料台に載せるだけで、すぐに観察できるのは便利ですね。 [学名]Halyomorpha halys (Stal) [分類] 半翅目(カメムシ目),カメムシ科 https://www.city.nagoya.jp/kenkof.../page/0000005537.html... https://ja.wikipedia.org/.../%E3%82%AF%E3%82%B5%E3%82%AE...。

【ダイアモンドナイフを観察してみました】

電子顕微鏡には、透過型電子顕微鏡(TEM)と走査電子顕微鏡(SEM)とがあることは、以前お話ししたと思います。透過型電子顕微鏡で観察しようとする試料は、とっても薄い薄片(0.1ミクロン以下の厚さ)にしなければなりません。この作業のために使われるのがダイアモンドナイフです。使い古して放置してあったダイアモンドナイフ(Diatome社製)をSEMで観察してみました。ダイアモンドで作られた刃先は綺麗に研磨されています。無処理での観察では、二次電子観察よりも反射電子観察が適しているようです。使い古したナイフですので、刃先に切屑が付着しています。少しクリーニングしてみました(右下の写真)、汚れたまま放置してあったので、簡単には取れないようです。何も付いていなくって綺麗な部分は、まだ使えそうです。ダイアモンドナイフを長持ちさせる秘訣は、使用後に薄片を刃先に残さないようにすることです。

【試料をセットする高さについて】

説明が前後してしまいましたが、ミニスコープの試料セットについて、簡単に説明します。試料の高さと観察する像の解像度の関係について検討しています。

【庭のカタバミ】

駐車場の隅っこに、カタバミが自生しています。小さな花は、全体像が観察できます。試料台に花の根元をくっつけるだけなので、観察していると試料が動いてしまい、高倍率での観察は難しいかも知れません。それにしても、試料台に載せるだけで、導電処理など全くなしで、こんな写真が撮れるなんて、一昔前までは考えられませんでした。低倍率であればOKです。

【ヒメフウロの花】

庭に自生する「ヒメフウロ」の花を観察しました。おしべが「成熟」してくると、花粉が飛び出してくるようですね。「ヒメフウロ」の花を庭で摘んできて、試料台に乗せて、すぐに観察できます。花のカラー写真は、ミニスコープの中の観察直前の写真です。観察後も、同じような状態を保っています。

【アブラムシかな?】

カタバミの茎には、たくさんの細かな黒い「つぶつぶ」(1mm前後)が付いていました。きっと、アブラムシだと思います。一番下の写真は、「Focus合成」をしています。 

アブラムシ(油虫)は、カメムシ目(半翅目)のアブラムシ上科(Aphidoidea)に属する昆虫の総称である。アリマキ(蟻牧)とも呼ぶ[1]。 植物の上でほとんど移動せず、集団で維管束に口針を突き刺して師管液を吸って生活する、小型で弱々しい昆虫と言われる。アリと共生し、分泌物を与えるかわりに天敵から守ってもらう習性や、単為生殖によっても増え真社会性を持つことなどから、生態や進化の研究のモデル昆虫ともなっている。(https://ja.wikipedia.org/wiki/アブラムシ)

【ハエの複眼を見てみよう】 

家内が、「ハエが落ちていたから拾っておいたよ.....。」。ということで、複眼を観察しました。ミニスコープ内での乾燥による収縮も少ないようですね。低倍率の写真では、画面左手から、光が差し込んだような画像でした(電子の入射方向でしょうね)ので。レタッチソフトで右側から光を当ててみました。

【小さな蛾が飛び回っています】

。部屋の中を小さな(蚊よりはやや大きい)蛾が飛び回っています。どうやら食品などに発生する蛾のようです。 「ノシメマダラメイガ」 https://www.naro.affrc.go.jp/.../yak.../gaichu/zukan/28.html 違っているかもしれません。蝶のようには「美しく」ないのですが、鱗粉を持っています。彼らなりに「おしゃれ」なんですね。

【試料台アセンブリを作りました】

試料を装置にセットするための部品を、メーカーは「試料台アセンブリ」と呼んでいるようです。TM4000型SEM ( ミニスコープ )を購入してから、まもなく1年になります。これまでに作製した「試料台アセンブリ」をまとめてみました。純正品はきっと高価(?万円)なので、市中で入手できるネジ類を組み合わせて作製しています。制作費は1個200〜300円程度でしょうか。「精密?」傾斜用は、超ミクロトームの部品を使っています。いくつか用意しておくと何かと便利です。

【走査電子顕微鏡の解像度(分解能)の比較】

 走査電子顕微鏡(SEM)には様々な種類があります。わが家にやってきたミニスコープの分解能(どこまで細かな構造を観察できるか)は、それほど高くありません。この性能を理解して使用することが大切です。 前の写真のところでも説明しましたが、ラットの小腸(十二指腸)の細胞の表面には、非常に細かな「毛」のような形の微絨毛が密集しています。残念ながら、ミニスコープでは、この微絨毛は明瞭には観察できません(最下段の左側の写真)。分解能が高い「電界放射型走査電子顕微鏡」と呼ばれる装置を使用すると、この微絨毛が綺麗に観察できます(最下段の右側の写真)。低倍率の写真では、この違いは認識できません。 一方、ミニスコープは、生の試料をそのままセットして、金属薄膜のコーティングをしなくても観察できるなどのメリットがあります。これらのメリットを活用して、応用分野を広げてゆきたいと考えています。ちなみに、両装置の価格差は10倍です。分解能も10倍ですね。

【昆虫の世界】

神戸大学で新種の昆虫が見つかったという新聞記事がありました。昆虫の世界は専門外なのですが、「蚊取り先攻」を使って、とっても多くの種類の小昆虫が捕獲できましたので、新種もいるのかもしれませんね ..... 。 ※ 「蚊取り先攻」を使用して小昆虫を捕獲する場合、絶命した昆虫に「蟻🐜」が集まってきますので、空中に吊るしておくか、水槽などで「蟻」の侵入を防いでおく必要があることがわかりました。。

【プレパラート観察用試料ホルダー】

最近、光学顕微鏡観察のために用意されたプレパラートをわが家の走査電子顕微鏡で観察することが多くなりました。専用のホルダーを作りました。有り合わせの部品で作りましたので、製作費は500円位かな…..。。

【プレパラート観察用試料ホルダー】

裏側から見た写真です。ユリヤネジで軽く固定して観察します。

【プレパラート観察用試料ホルダー】

-60°Cまで冷却できるフリーザーを入手しました。フィッシング愛好家のための装置のようです。フリーザーの「空きスペース」には、お酒のつまみが冷凍保存してあります。先日の学会発表に向けて実験をしましたので、順次報告させていただきます。まだまだ予備実験段階ですが ..... 。

【凍結実験をやっています②】

冷凍庫内で試料ホルダーごと冷却した試料を、ミニスコープ内に迅速に持ち込み、真空廃棄を開始します。右手に置いてある純銅ブロックh、必要に応じて、試料の急速凍結に使用します。

【凍結実験をやっています③】

凍結ステージです。アルミの「塊」で作成しました。中央部に試料を載せて、フリーザー内で凍結します。必要に応じて、試料を冷却したフリーザー内の「純銅ブロック」に押しつけて冷却した後に、凍結ステージに載せます。凍結した試料を載せた凍結ステージを素早くミニスコープ内に装着して、真空排気を開始します。試料は、必要に応じてアルミ板あるいはガラス製(スライドグラスを切って作製)を用います。

【じゃがいものスライスを凍結して観察しました。】

じゃがいもを凍結して観察してみました。じゃがいものスライスを凍結ステージにセットして、ミニスコープに装着します。真空排気は、2分30秒前後で完了し、観察が可能になります。この時点で、試料の凍結乾燥はかなり進行しているものと思われます。

【じゃがいものスライスを凍結して観察したSEM像】

低倍で観察したじゃがいもです。細胞壁に囲まれた細胞の中にデンプンの粒が詰まっているのがわかります。

【じゃがいものスライスを凍結して観察したSEM像】

少しだけ倍率を上げてみました。この時点では、すでにじゃがいもは乾燥しています。

【口腔内粘膜の凍結乾燥①】

口腔粘膜と口腔内細菌。綿棒で口腔内の細胞を採取して、ガラスの表面に塗沫し、凍結後に観察した写真です。ミニスコープの解像度の限界を感じますが、ある程度は、微細な構造が観察できます。

【口腔内粘膜と口腔内細菌】

口腔内粘膜細胞の周辺に口腔内のバクテリアgs観察できます。